管理人の書いた二次創作SSです。
BL・腐女子がNGな方は閲覧しちゃだめですよ。
2012.07.07 Saturday
青い海の向こう、見えたもの
風にはためく、黒い帆の…海賊船。
彼は誘う。
「お前も来れば良い。」と
躊躇う僕に再び声を掛ける。
「海賊になるのは今でも嫌か?」
違う。
そうじゃなくて。
そうじゃないんだ―――――
風にはためく、黒い帆の…海賊船。
彼は誘う。
「お前も来れば良い。」と
躊躇う僕に再び声を掛ける。
「海賊になるのは今でも嫌か?」
違う。
そうじゃなくて。
そうじゃないんだ―――――
「ジャック。
あんたはあんたの船を…自由を手に入れた。
…僕にはもう何の価値も無いよ。」
メダルの呪いは解けた。
そして僕は只の鍛冶屋のウィルに戻る。
「それだけの価値しか無いと思ったら、俺は今此処には立ってないね。」
「ジャック?」
歩み寄る彼に疑問を抱き、落としていた視線を上げる。
目の前にはジャックのセピアの瞳。
「ウィル。俺は何だ?」
「?何を云ってるんだ?」
「俺は何者なんだ、と聞いてるんだよ。」
「海賊船の…ブラック・パールの船長…だろう?」
何を今更と云わんばかりのウィルの答えに、ジャックはニヤリ、と笑った。
「そう、俺は海賊船<ブラック・パール>の船長だ。…海賊さ。」
慣れた手つきで腰に回される腕。
「だから欲しいものは奪う。」
「はぁ?!」
何を云ってるんだ、ジャック。
そう続けようとした唇が塞がれる。
「!」
「海賊になるのが嫌というなら、宝として奪うまで。
それでは参りましょうか、お姫様。」
笑うジャックに呆れつつも戸惑う自分。
「何を云ってるんだ!正気か、ジャック?!」
「正気なんて、あの無人島に置き去りにされた時から無くしてるさ。」
いつもの冗談なのか本気なのか分からない口調。
「お前に会ってからは更にね。」
彼の全てに惑わされる自分。
「…お姫様やお宝扱いされるのは納得出来ないんだけど。」
「では『海賊船ブラック・パール号のジャック・スパロウ船長の妻:ウィル・ターナー改め、ウィル・スパロウ』っていうのはどうだい?」
そんな言葉を吐き乍ら、流し目をくれて再びニヤリ。
「ジャック・・・・頼むから止めてくれ。海賊で良いよ。」
「『海賊で良い』とは失礼だな、ウィル・ターナー君。
―――然し此れで決まりだ。」
伸ばされる手。握り締められて、引かれてゆく。
ブラック・パール号に。
ますます惹かれてゆく。
ジャックに。
多分、岐度どうしようも無いから。
だから。
もう、自分の気持ちに嘘をつくのも戸惑うのも躊躇うのも止めた。
ジャックは誰も他に居ないのに、諸君!今日という日をお忘れなきよう!、なんていつものお決まりの台詞を言い、エリザベスから聴いた歌を歌う。
そんな彼の歌を遮るウィルの呼び掛け。
「ジャック。」
陽気に歌を歌いながら前を行く彼を、立ち止まって止まらせる。
歌を止めて振り返ると、ウィルがこちらをじっと見つめていた。
「なんだい、ウィル。心は決まったんだろう?」
「まだ云ってないことがあるんだ。」
「云ってないことだって?」
ウィルは怪訝な顔をするジャックの襟元を掴み、ぐいっと引き寄せた。
そのまま今度は此方からキス。
「・・・・!」
ウィルの予想外の行動に、ジャックは目を見開き固まっている。
何だ。可愛いところもあるじゃないか。
なんてウィルが思っているとは露知らず。
「あ・・・・っと。その・・・ターナー君。君、なんだな・・・案外と・・・」
視線を微妙に彷徨わせる。
「ジャック。あんたの気持ちはそのまま僕の気持ちだと・・・思う。
だからこそ、僕は財宝でもお姫様でもなく、ウィル・ターナーとして一緒に・・・・あんたと一緒に行きたい。」
そう云い切って、何だか恥ずかしくなってきたウィルは俯いた。
岐度耳まで赤くなっているに違いない。
―――思っているだけと口に出すのとでは大違いだ。
そんなウィルに向けられた言葉。
「上出来だ、ウィル。」
いつもの笑みを浮かべて、ジャックはウィルの両頬に手を添える。
自然と閉じられる瞳。
長く重なる黒い影。
そして僕は「自由」を彼と共に体験する。
黒い帆の海賊船の海賊として、船長の傍らに立って世界の海を渡り歩く。
青い空、海風を受ける黒い帆。
風に留まること無く翻る黒いコートを着た人影。
其の傍らに僕は居る。
彼と一緒に今日も「自由」を感じて。
明日も明後日もその先も―――――――
海に還る日までずっと一緒に。
あんたはあんたの船を…自由を手に入れた。
…僕にはもう何の価値も無いよ。」
メダルの呪いは解けた。
そして僕は只の鍛冶屋のウィルに戻る。
「それだけの価値しか無いと思ったら、俺は今此処には立ってないね。」
「ジャック?」
歩み寄る彼に疑問を抱き、落としていた視線を上げる。
目の前にはジャックのセピアの瞳。
「ウィル。俺は何だ?」
「?何を云ってるんだ?」
「俺は何者なんだ、と聞いてるんだよ。」
「海賊船の…ブラック・パールの船長…だろう?」
何を今更と云わんばかりのウィルの答えに、ジャックはニヤリ、と笑った。
「そう、俺は海賊船<ブラック・パール>の船長だ。…海賊さ。」
慣れた手つきで腰に回される腕。
「だから欲しいものは奪う。」
「はぁ?!」
何を云ってるんだ、ジャック。
そう続けようとした唇が塞がれる。
「!」
「海賊になるのが嫌というなら、宝として奪うまで。
それでは参りましょうか、お姫様。」
笑うジャックに呆れつつも戸惑う自分。
「何を云ってるんだ!正気か、ジャック?!」
「正気なんて、あの無人島に置き去りにされた時から無くしてるさ。」
いつもの冗談なのか本気なのか分からない口調。
「お前に会ってからは更にね。」
彼の全てに惑わされる自分。
「…お姫様やお宝扱いされるのは納得出来ないんだけど。」
「では『海賊船ブラック・パール号のジャック・スパロウ船長の妻:ウィル・ターナー改め、ウィル・スパロウ』っていうのはどうだい?」
そんな言葉を吐き乍ら、流し目をくれて再びニヤリ。
「ジャック・・・・頼むから止めてくれ。海賊で良いよ。」
「『海賊で良い』とは失礼だな、ウィル・ターナー君。
―――然し此れで決まりだ。」
伸ばされる手。握り締められて、引かれてゆく。
ブラック・パール号に。
ますます惹かれてゆく。
ジャックに。
多分、岐度どうしようも無いから。
だから。
もう、自分の気持ちに嘘をつくのも戸惑うのも躊躇うのも止めた。
ジャックは誰も他に居ないのに、諸君!今日という日をお忘れなきよう!、なんていつものお決まりの台詞を言い、エリザベスから聴いた歌を歌う。
そんな彼の歌を遮るウィルの呼び掛け。
「ジャック。」
陽気に歌を歌いながら前を行く彼を、立ち止まって止まらせる。
歌を止めて振り返ると、ウィルがこちらをじっと見つめていた。
「なんだい、ウィル。心は決まったんだろう?」
「まだ云ってないことがあるんだ。」
「云ってないことだって?」
ウィルは怪訝な顔をするジャックの襟元を掴み、ぐいっと引き寄せた。
そのまま今度は此方からキス。
「・・・・!」
ウィルの予想外の行動に、ジャックは目を見開き固まっている。
何だ。可愛いところもあるじゃないか。
なんてウィルが思っているとは露知らず。
「あ・・・・っと。その・・・ターナー君。君、なんだな・・・案外と・・・」
視線を微妙に彷徨わせる。
「ジャック。あんたの気持ちはそのまま僕の気持ちだと・・・思う。
だからこそ、僕は財宝でもお姫様でもなく、ウィル・ターナーとして一緒に・・・・あんたと一緒に行きたい。」
そう云い切って、何だか恥ずかしくなってきたウィルは俯いた。
岐度耳まで赤くなっているに違いない。
―――思っているだけと口に出すのとでは大違いだ。
そんなウィルに向けられた言葉。
「上出来だ、ウィル。」
いつもの笑みを浮かべて、ジャックはウィルの両頬に手を添える。
自然と閉じられる瞳。
長く重なる黒い影。
そして僕は「自由」を彼と共に体験する。
黒い帆の海賊船の海賊として、船長の傍らに立って世界の海を渡り歩く。
青い空、海風を受ける黒い帆。
風に留まること無く翻る黒いコートを着た人影。
其の傍らに僕は居る。
彼と一緒に今日も「自由」を感じて。
明日も明後日もその先も―――――――
海に還る日までずっと一緒に。
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