管理人の書いた二次創作SSです。
BL・腐女子がNGな方は閲覧しちゃだめですよ。
2012.07.03 Tuesday
【昏イ想イ 迷ウ闇中】
腕の中で声を上げる。
腕の中で声を上げる。
其の細い躯を弓なりに反らせる。
今は見えない赤い瞳。
初めて会った時はまだ頭一つ分くらいしか違わない背丈だった。
でも久し振りに会ったら、近くに在った肩はもう遠く並ぶこと無く。
変わった。
伸びた背。
並ぶことの考え付かないほど遠くなった肩。
並ぶことのなくなった俺達。
信じられない言葉が其の唇から紡がれた。
壊れてしまった。
壊れてしまった鈴。
それから。
又、時間は流れて。
沢山の死が。
沢山の出来事が俺を変えた。
時間が成長させた。
並ぶ事はないと思っていた肩。
追いついた背。
かつて組み敷かれた体は、組み敷く側に。
ずっと想っていた。
ずっと呼んで欲しかった。
俺の名前を。
でもその唇からいつも最後に紡がれるのは。
「…せんせ…ぇっ…」
そして意識を手放す、腕の中の身体。
自分の下に横たわる身体を見つめて呟いた。
「・・・・ねぇ。 俺の名前を呼んでよ・・・・・鈴。」
まるで此れが罰と云わんばかりに。
最後の言葉が重く昏く圧し掛かる。
もう、決して届かない心。
「—————鈴・・・・。」
闇の中、暗い想いを抱き続ける。
鈴を抱き続ける。
ずっと。
終
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